2019/04/04

異音


ふつうに生まれたかった。

ふつうに感情を試されたかった。


リトマス試験紙の青と赤、どちらにも判定しない液体飲んで、

どちらともない味が喉の奥を通り過ぎて、僕は粉々に砕け散った。


分裂した僕の断片は、どこにも属せず。


かけらを拾い集めて、僕は僕だ。そう胸を張って生きることはとうに諦めた。


僕は僕だ。だけど、どこにも僕はいない。



誰にも。