2012/04/22

⇔跡



君がいなくなった公園で

ひとり、夜の奥を覗く。


君はもう覚えてないかもしれないけれど、

確かな感触はここに残っている。

傷の奥に。



2012/04/21

傷⇔


(過ぎ去りし罪)


檻の中は孤独過ぎた


君はもう扉を開けようとはしなかった


檻の外から


黒い涙を流す僕を見つめて


楽しんでいただけだ





檻の中は清潔過ぎた


君はもう僕を傷付けようとはしなかった


汚す価値のない哀れな人形を


蔑んでいただけだ


檻の外で






君が最後に僕に与えた最大の傷は


解放という名の罰だ

2012/04/20

雄蕊ノ幻想



 咲カズニ堕チタ蕾
 黒キ雨ニ蹂躙サレ
 汚レテユク花ビラ
 疑ワシキ雄蕊ノ闇
 味覚ハ苦味ヲ増ス


 囚ワレノ残像越シ
 穏ヤカナ川ノ岸ニ
 淡キ白イ花ガ咲ク
 イツカ二人デ摘ム
 儚イ想イヲ抱イテ


2012/04/19

狂ったウタ



時代遅れの曲が流れて
色褪せた記憶がメロディーに揺れる


掴めない雲みたいに実体のないぼくが
音程チューン狂ったギターでコード弾いている


五線譜は確かに曲を愛でているのに
ぼくのなかには愛が無かった



錆びた弦張り替えて
真白なノート広げて
存在の意味を綴る



ちっぽけな音符を重ねて
開放はじいて


ぼくはウタう
これからの今を


やがて色褪せていく今のウタを

2012/04/15

残骸意識

 

黴が生まれていた。
錆にはなれ、黴に。 
翳にもなれず、黴に。


写真に切り取った蜜柑も自分も、
本当はもう存在してないのかもしれない。


黴に犯されて
奴に喰い尽くされて 

私という人間も
蜜柑という粒々も
もう本当は存在していないのかもしれない。



存在していたくない。


奴が生まれた時、私は、既に──


いなかったのだ。


2012/04/10

Øpen up my eyes and 娼 me salvation

 
希望とか夢とか
初めはたくさん詰まっていた


今もどれかの扉の向こうにあるのかもしれない
けれど今は誰もあけようとはしない



そもそも希望とか夢とか

そんなもの

初めからあったのかさえわからない



価値が薄れている
感情が削られていく



今もどれかの扉の向こうにあるのかもしれない
けれどもう誰も知ろうとはしない



誰も

2012/04/09

引き裂ク音。



割れ散る罅





壊れ堕ちる日々





我に響ク、

2012/04/08

腐ショ区


僕の意図が錯綜してる。
欠落腫と認識される。
爛れた町でタダれ
あとは穏やかに腐敗するだけだ。

2012/04/05

空箱


相違は容易に裂傷をもてなした
薄れゆく不憫の幻灯を払いのける
俺は何を求めていたのか


想定は脆弱に劣等をもてあました
色の無い破片に幻滅を振りまいた
君は何も求めてはいなかった


有るのは何も無いという後遺症・・・

2012/04/02

詩蓋ノ疑(ウタガイノウタ)

 

 人知レズ咲イタ花

 蹂(じゆう)に自由躙(じゅうりん)され

 至みは痛る







 彼(かな)しみの悲方(かなた)に

 滲が虹む






 苦わせた狂しみに

 病みを闇






 詩(ウタ)がいを疑(ウタ)う



2012/04/01

幻影


◆時果辞典より


げん-えい【幻影】

 一、生きること。


 二、生きたこと。「-を葬る」