2012/04/15

残骸意識

 

黴が生まれていた。
錆にはなれ、黴に。 
翳にもなれず、黴に。


写真に切り取った蜜柑も自分も、
本当はもう存在してないのかもしれない。


黴に犯されて
奴に喰い尽くされて 

私という人間も
蜜柑という粒々も
もう本当は存在していないのかもしれない。



存在していたくない。


奴が生まれた時、私は、既に──


いなかったのだ。