2012/06/30

契約の一語



囀りを遮り、君の唇を噛む。


唇から滲む赤い毒を指先で拭って、
舌の奥──
やわらかな喉に押し付けた。



「      」
僕の誓いは
   熱を帯びた君ノ耳ヲ触ル




頬ヲ伝イ堕チル ソレハ、


承諾の証でしょうか?

2012/06/13

『A-to-Z』


過去がなんだっていうんだ?
記憶には確証がないだろう?
君が僕に付けた傷はもうとっくに塞いでいる。
こんなの、傷跡のひとつにすぎなくて、君の勲章なんかじゃない。
もうその言葉には従わない。
喉に刺したナイフを取り出して、その支配欲を切り刻んでやる。
僕と君を繋ぐ鎖を引き千切り、声の出ない声で、君の名前を叫ぶんだ。

2012/06/10

声無き詩(ウタ)


君を失ったとき
永遠なんてないと知った

ウタうことのできない蝶は
どこで鳴けばいいのだろう


傷をすべて剥がして
心をすべて剥がして
僕は僕を置き去りにして
なにものでもない僕で

葬る


2012/06/09

(XXI.世界)Up to You



世界を見捨てることにした。


いくら待ってみても、
世の中は壊れ物のラベルを貼って存在していて、
いっこうに壊れることはない。

時だけが確実に通り過ぎ、過去へと急ぐ。

ここは、糞まみれの糞でしかない。
底を這いつくばっている僕は、最も臭いモルモットであろう。
無法地帯に放された、神様のペットでしかないのだ。