2016/07/13

夏夜の雪


貪欲に満ちた
街の明かりが零れて
奈落の花びらを射す

怪しく
美しく
光沢を帯びて
蠢いて



痛みは鈍る
脆弱な赤に心従い
涙の欠片を刺す

悲しく
虚しく
虹彩を放ちて
雪を追う

2016/07/09

栞葬


もしもあした
物語が途絶えたら
次の空白のページには花を挟んでほしい


いつか…
忘れかけの本から
薄ぺらな花びらが落ちて
拾い上げたその手で握りつぶしてくれるのなら
時の砂のように零れたい



だけど…
物語が捲られることは初めからなかった
1ページも






誰にも愛されない人生よ、さらば。