2013/10/23

裏地の日記(変)


「上がったのね」

と、カーテンが開けられる。

 俺も一緒に外を鑑賞する。

 ベランダの手すりにしがみつく水滴が、陽射しを受けて、きらきらと輝いた。


 街路樹はすっかり秋色を纏っている。木陰からこちらを覗いているメガネも秋の色を装っていた。



 葉が一枚、舞い落ちていく。

 ゆっくりと近づく冷色の気配。



2013/10/20

裏地の日記(嬰)


「降りそうね」

と、カーテンは閉められた。

 陽当たりの悪い部屋には、最早意味の無い、単なる目隠しのための布切れでしかない。

 毎朝、天候を確認するときだけ、レールを行き来する。


 俺もそっと空を垣間見る。

 雲はわずかに饒舌で、鳥は大いに舌足らずだ。

 ベランダで干からびた何かの幼虫も、自販機の向こうからこちらを覗くメガネも、いつもと変わらない。

2013/10/16

レモンイヱロー

弱さはすぐに忍び寄る

私にピタリと当てはまるようにして

壊れるのは容易く


脆さは常に背中合わせ