2013/10/20

裏地の日記(嬰)


「降りそうね」

と、カーテンは閉められた。

 陽当たりの悪い部屋には、最早意味の無い、単なる目隠しのための布切れでしかない。

 毎朝、天候を確認するときだけ、レールを行き来する。


 俺もそっと空を垣間見る。

 雲はわずかに饒舌で、鳥は大いに舌足らずだ。

 ベランダで干からびた何かの幼虫も、自販機の向こうからこちらを覗くメガネも、いつもと変わらない。