
どんよりとした輪郭を、冴えない頭でぼうっと見つめる。
コンクリートの海にいた。
どんなにもがいても進めない。
もうすぐ私はカタマリになるのだ。
カタマリ。
手の中の感触を確かめると携帯電話だった。
夢と現実のハザマからようやく抜け出る。
カタマリはメールを受信していた。
開くと見慣れない文字が羅列している。
納屋へ鉈良き日な赤
棚か中は荷や他
ゆわひ気圧に湯張る皿
やなやらへなき矢を高菜は、由良は抜きと床や他
塚な秋菜由な夜話な
奈良原や和や中
件名には「文豪」と書かれていた。
そっと消去した。
私は現実の中で迷子なのだ。