2014/08/04

宛無き旅(受信編)


どんよりとした輪郭を、冴えない頭でぼうっと見つめる。

 コンクリートの海にいた。
 どんなにもがいても進めない。
 もうすぐ私はカタマリになるのだ。

カタマリ。

手の中の感触を確かめると携帯電話だった。
夢と現実のハザマからようやく抜け出る。
カタマリはメールを受信していた。

開くと見慣れない文字が羅列している。

 納屋へ鉈良き日な赤
 棚か中は荷や他
 ゆわひ気圧に湯張る皿
 やなやらへなき矢を高菜は、由良は抜きと床や他
 塚な秋菜由な夜話な
 奈良原や和や中

件名には「文豪」と書かれていた。
そっと消去した。

私は現実の中で迷子なのだ。