2018/12/31

赤蛆と黒蛆


この腐った入れ物の中で
記憶というフィルターを通して見る
蠕動しその身を朽ちらせるだけの腐敗物め
不出来なものとしてこの世に排出された
たった一粒の蛆を愛している
何億の蛆が散りばめられようとも
たった一粒を見つけることができる
たった一粒だけを愛している
誰に引き裂かれようとも
自身らが引き裂こうとも
肉體の火傷の跡は俺を縛るもの
決して許しはしないもの
分裂した先にあるもの
破裂した過去に置いてきた

永遠に交えない赤と黒

2018/12/27

(XX.審判)923


解けることのないように
見えない鎖を強く巻いた

 どんなに離れても
 他の誰かと付き合っても
 鎖は繋がれたままだった

 そうしてまた
 寂しさたぐり寄せて心重ねる

 粘膜にニードル刺して
 14Gゲージの慰め入れて

2018/12/10

毒(ドクロック)


誰が待つというのだろう
誰に触れられるというのだろう
一秒でも

僕はこの世に存在しているのかとさえ疑う




誰を待っていたというのだろう
誰に触れたかったのだろう
一秒でも

僕は、君に確かに存在していたはずなのに、





いつから死んだの?










誰の中にも 僕はいない
君の中にも 僕はいない
僕の中にも




2018/12/07

行き着く果てに


墓場あり〼

2018/11/11

研究対象


きらイなもの

セ゛んぶ

とじコ〆て

「なクなればいい」




僕をSIk∃Nk∀Nに入れて

木々は言った

2018/11/08

空(ソラ)と空(カラ)の間で


空と空の間で
過去を捨て
未来に絶望した


ソバニイルコトガツライ


転と点に貫かれた舌で
いま
終わりを告げよう

2018/10/06

眩暈


喧騒がざらついて
削られていく僕を
壊れていく僕を
ゴミ屑の僕を


時は忘れ


証明すらなく


産まれてきた愚かさを
都会の片隅で噛む




冷たい風が
滅びゆく僕を撫で
小さな螺旋を産む

2018/10/01

珈琲

 

 

  掛け違えた釦


   切れる糸の音



見失うのは一瞬だった

あの釦じゃないとだめなのに


放ったままのシャツに

もう移り香はなく


またこうして

独りの朝を迎えてる

2018/07/14


吐き出す吐き出す吐き出すみんな
欲望虚栄嫉妬憎悪
掻き出す掻き出す掻き出すぜんぶ
黄ばんだ液無くなるまで絞り出して
それでもすぐに肥溜めみたいに溜まってく
欲望虚栄嫉妬憎悪のカタマリが

2018/07/13

冷たい色

視界に収まりきれないほどの空を眺めていたら、
雲はどうやらリアルではないような気がしてきた。
だとしたら僕の背中にある羽はリアルなのかもしれない。
今ならゆける、




羽を広げて堕ちてゆく。

あの冷たいアスファルトに向かって。




叩きつけられた脳から僕の思考が飛び散った。
割れた眼球で見えたのは嘲け笑うあなただった。
街は現実に溢れていた。

鮮やかな景色を閉じる。

2018/07/08

ジャムトーストのゆーーつ


ケータイが壊れました。
誰とも繋がれないケータイの残骸にバターを塗りました。
ジャムトーストにアドレス帳を挟みました。
トイレにオーブンレンジを流しました。
下水のどこかでチン、と音が聞こえました。
ボクはあつあつのヨーグルトを食べました。
ひどくダージリンティーが恋しいのです。
ボクが唯一まともになれたのは、あなたが煎れた紅茶を飲んだときだった気がします。




ジャムトーストは憂鬱にボクを見放した。
残骸は無となり、テーブルの隅で在る。





2018/06/14

届かぬ黒は遠く


深淵から黒が堕ちて
どこまでもどこまでもそれは堕ちて

僕ヲ 取リ残シテユク




冷厳な黒に触れたくて
指先を伸ばしても

2018/06/13

【℃anDie】

 


 世界が死んだ



  蟲螻むしけらのようなビルを眺める

 

 あの明かりも欲しいものではなかった


 ホシイモノがなんだったのかさえうまくいえない



 蟲螻の中には欲望が蔓延していることだろう



 それらを奪い取り

 蟲螻に寄生する人間どもの口の穴に詰め込んでやれば

 欲望など塵屑程度の物だと思い知るだろう



 思い知るがいい

 この世界は死んでいる




2018/06/12

回青橙


たとえ飛べたとしても
君と繋がっている空のあの向こうには行けないの

僕の皮膚に記した君の名前を剥ぎ取って
君との刻んだ時を破り捨てたとしても
僕が僕を捨てたとしても
空は変わらず回り続ける

夜と朝が交代するとき
オレンジ色の空が僕を見捨てて
きれいな地球が回り続ける

2018/06/11

scope


もう少し先へ歩いて行けるのなら、空が青く見えるかもしれないのに。

相変わらず僕の景色は赤みがかった灰色で、怖くなって引き返す。

玄関の鍵を閉めるとき、
その音を聞いたとき、
価値の軽さを知るんだ。

玄関を無駄に埋め尽くす靴の価値、閉め切った部屋に淀む空気の価値、炊飯器にこびりついている干からびた一粒の米の価値、布団の圧縮された綿の価値、
僕の価値。
鍵を閉めるカチという音とともに。

2018/06/09

食えない音


伝えたいのはこんなヒズみじゃない。


だけど
アンプを通り抜けるとき、
肉を挽くみたいなミンチさでばら撒いてしまう。



たやすく
それは振り払われてハンバーグにもなれやしない。



夕方の片隅、赤染みた床の上で肉片は眠り就く。




夢の中で音が鳴る。



夢の中でなら伝えられるのに。
このゆがみの不味さを的確に。




2018/06/07

痛みに縁取られた空白(夢)


蛆虫の夢を見た。
蛆虫は出てこないけれど蛆虫に怯える夢だった。
俺はきっと怖いんだ。
本当は脳の中なんて空っぽで
本当は全身が空っぽで
何もないんだ。
ずっと脅かされている。
もしかしたら見るものすべてが…




何もない。
俺ハ空白ニ彩ラレタ殻ノ屍。




あな には見えて るの?
  た ち 本当にい  ?





俺は生 て  。

2018/05/29

秩序のアワ


孤独は意識を硬質にさせる。

だけど

ボクが纏う温度まではわからないじゃないか。




触れてもいないくせに。



その清潔な指先で。




ボクは思うんだその清潔な匂いの清潔すぎる指先は清潔な匂いでたぶん水道水くらいの冷たさを纏って清潔にボクを罵るの。


2018/04/18

インクと花

壊れ逝く色
(空を着飾る七色を混ぜたような滲み)


壊れ逝く音
(空を徘徊するペン先の不協和な声)
が抵抗したとき

壊滅的な花が咲きました

2018/01/06

甘い欠片

 

見慣れない色を嗅いだ日は
少しゆううつになって
少し不機嫌にドアを閉める

この色でもなくて
この色でもなくて
この色でもなくて
この色ではない

もっと華やいだいい香りがした


「もうきっと会えない」


パレットの色ごちゃまぜにして君を想う