2019/10/31

残夜杳花


脈に侵入する雑音をうまく拒絶出来ない。
それは躰中を駆け巡り、中枢を破壊した。
この世の全てを拒否して落下していくその時、
モノクロームの視界の隅にひとつだけ色づく花が揺れた。

その花を摘むことが出来たなら約束を守れたのに。

2019/10/19

dim


太陽が眠るとき 
視界は目覚める

蔑い色に変わるとき
唾を吐く

 
かき鳴らした言葉が
夜の中に堕ちてゆく


 一瞬でも光を放つことができたなら

 一歩でも君の足元を照らすことができたなら


2019/10/15

真夜中ノ…徘徊…


真夜中に吸い込まれて
迷えし者独り。
雨のあトをたどり
赤と。夜との。
境界線ノ前で、
ふと。立ちどまる。
出口を見つけたけれど
ふと。たちとどまる。
このまま、ここで永遠に真夜中ヲ踏んでいようか…

2019/10/03

欲望


色褪せた遠い昔の記憶なのに一瞬にして蝕まれる


孤独に生きると決めたときから過去を捨てたはず



体の中のどこを切り取ったら考えずに済むのだろう

どこを剥ぎ取ったら痛みは消え失せるのだろう



記憶の被疑者は未だ容易く僕を支配し僕を嘲け笑う




 闇ガ 全テヲ吸収スル




あの光も僕自身も欲しいものではなかった



 闇ヲ 切リ撮ルガイイ



僕の望むものにはなれなかった

(君の望み通りにはなれなかった)









冷たい僕を蔑んでほしい

2019/10/01

偽 靜 視 界


 

偽の翅で飛ぶ

霧の向こうに見える一筋の光を頼りに



組み立てた翅の粒がつぶれる、

誰にも触れられもせずに。



偽の私が逝く

振り返った後に残る頼りない筆跡



紡いだ言葉が消滅していく

偽でしかない

偽者でしかなかった



霧はどこまで続いている?

あの光は蜃気楼だとわかっていても。 

それでも飛びたかったんだ。