2022/08/22

(XV.悪魔)欠けル



陽に照らされた僕の内側で、反復した夢の後味は悪い。
カーテンを閉めて、僕の影を殺した。

暗がりに灯るパソコンの画面と流れるサウンドは、死した僕への弔いだ。

今日を生きられるだろうか。
明日を生きているだろうか。
陽が射すたびに僕は終わる。


また同じ夢を見る。
僕から少しずつ僕が削られて、痛みだけを知ルのだろう。

2022/08/07

THEATER


玄関のコンクリに染みた水滴は
まだ乾ききってはいない
その表面は小さな花に似ている
夏、水辺で揺れていた

駅前のコンビニで買った紅茶は
まだ飲みきっていない
この表面に書かれた成分表を
飽きることなく見ていた

浮遊する僕の心が沈むまで


暗闇を削る四角の画面に
上映された僕の人生は

色無く
音無く
つまらなく
静かに始まり静かに終えた

僕はどこにいたのだろう


コンクリの水滴が乾いて
紅茶を飲み終えたとき
冷たい床が僕の行方を憂う


遥かなる心音を殺せと