2024/10/07

虚空ノ先

ずっとずっと先を想像する
痛みの無いクウカンはあるのか

私が『い無い』セカイを求めて

ずっとずっと先を創造する
星屑の無いクラヤミで消滅する

誰も『い無い』
何も無い…

2024/06/04

予示


掬えぬ水の冷たさに

映る紅い覆輪


形の無い一片が僕を探している





 僕は水の中にいた

 月が歪んで

 僕が歪んで

 誰も救えぬ形無い欠片となる



2024/05/09

滲む聲



さらさらと
或いは
ざらざらと

思い出がすり抜けてゆく



闇だけの世界が音も無く私を浚う





最期の聲 
  明日を照らせず


  さらさらと
  或いは
  ざらざらと




2024/02/12

無限ノ標ベ



世界の片隅で吐き出された汚物は
忌み嫌われ
あとは固まるだけ


雨風にさらされ消滅するあいだも


月は揺れて


なにごともなかったかのように世界はまわる


2024/01/22

ETTER




痛みは時を読み
僕を削る

胃液色の汚れた陋劣の文字が漏れ
僕を飾るまで




孤独が時を踏み
レッテルの譜だけが残留するのだろう

いつか錯くのだ、

不確かな暗闇を奏で
始まりの花が


2024/01/16

檸檬パッケージ


殻となった僕の内側を
甘い紅茶が撫でていく

(檸檬ノ記憶には
 君ガ
 いるのかもしれない)

黄色い未練を
曖昧な僕に注ぐ
わずかに浸る、Glitch断片

2024/01/13

秒的咀嚼音


いざよう思いが

青に染みて

私は記憶に取り残される


幸せな思い出もあったはずなのに
悲しいことしか思い出せない




青は私を齧り

私の記憶からまた

幸せの断片を切り取っていく


幸せな思い出もあったはずなのに
悲しいことしか思い出せない