2019/11/08

契 リ


自由を求めて飛び出したけれど
自由なんて無味でしかなかった。
窮屈な檻の中で飼われていたほうが生きている感じがした。

わかってる、君は真実を持っていた。
ただ当たり前に純粋に私を愛してくれた。
君の手の中で、私の千切られた羽が泣いていた。
だけど君は涙を拭こうとはしなかった。
羽のない哀れな私を笑った。
私のことを「殺したい」と笑った。
私はそれでも構わないと思った。

ねえ、わかってた?私は嘘を隠していた。
ただ必死に君のことを愛したんだ。
痣が残っても切り傷が増えても耐えられた。
だけど君の不機嫌に怯えていた。
嫌われたくなかった。
突き放されるのなら殺されたほうがマシだ。
そうして心を失くしていった。



自由を求めて飛び出したけれど、
自由なんて無味でしかなかった。
窮屈な檻の中で飼われていたほうが生きていた…


飛べない蝶は 踏み潰されるだけだ。