2022/09/17

幻想は赤の中で


いつかふたりで行きたかった

約束したあの場所に



もう二度と温もりを感じることはできなくて

ひとりぼっちの私だけが色のない世界で

色を持たずにここにいる



降り始めの雨が花を赤く染めて

おそろいのブレスレットを赤く濡らした

瞬く警戒音が通り過ぎる




 いつかふたりで生きることができるのなら

 その手を放すことはないだろう


幻想を雨の中に──




赤く染まりゆく鼓動は引き千切られていく。
壊せばいい。気が済むまで。涙が枯れ果てるまで。私の哀しみは歌う。
欲しいものなんてもうなにもない。
なにを願ったっけ。
痛みに苛まれながら壊れるのだ。

今、何を願おう。


…私が存在しなかった世界を創造することだ。