2016/11/29

間違イの方向で


産まれてきてはイケナイニンゲンだった。

僕は 宿るべきではなかったノだ。

咆えるべきデはなかったのだ 僕は。

光は無慈悲に己を照らした。

確かに生きたはずなのに痕跡は無ク。


彷徨の果て朽ちてユく。

それはとても醜く、哀れな残骸だった。

2016/11/20


無力
悲しいくらいに

ただ息をしているだけ
虚しいほどに

暗い部屋で澱カサナル
ただ生きをしているだけ


2016/10/15

眼球ジャグリング

 

カスタネットベンキを叩いて

ポップに弾けるオート

グるグる回るセカイ

右目絶望と左目諦めで

納得のいかない覚悟を探してる

2016/09/15

お月見バナナ

 

夏の夜の終わりはどこにあったのだろ
秋の朝の始まりはどこにいたのだろ

バナナの皮を剥いて
先の終わりとにらめっこした
根本まで剥いたら
バナナのやつめ、落っこちた

僕が勝ったのか
それとも
ホコリまみれになったバナナを食えない僕が負けたのか

バナナの終わりに聞いた
僕の終わりはいつなのだ


月が僕を希薄に嗤ってる
影は無く
僕は無く
バナナが泣いた

2016/08/25

警報


時が途切れて
色を失い
私を突き刺したのは






針先が私を貫く


戒め

警告




決して私を赦さないもの。
決して私は忘れない。

2016/07/13

夏夜の雪


貪欲に満ちた
街の明かりが零れて
奈落の花びらを射す

怪しく
美しく
光沢を帯びて
蠢いて



痛みは鈍る
脆弱な赤に心従い
涙の欠片を刺す

悲しく
虚しく
虹彩を放ちて
雪を追う

2016/07/09

栞葬


もしもあした
物語が途絶えたら
次の空白のページには花を挟んでほしい


いつか…
忘れかけの本から
薄ぺらな花びらが落ちて
拾い上げたその手で握りつぶしてくれるのなら
時の砂のように零れたい



だけど…
物語が捲られることは初めからなかった
1ページも






誰にも愛されない人生よ、さらば。





2016/06/18

そういう軌道で起動する


青い空からノイズが垂れる

黒いノイズが垂れる

腸がはみ出したみたいに

そういう軌道だったから


弱い僕から言葉が漏れる

虚飾の言葉が漏れる

そういう軌道だったから

そういう軌道で

反吐を散らしながら

偽善者装ってる

2016/06/16

、 不  協和。 音


夜を警告する夕日に不覚にも見惚れた。

明日を指す花片に心が華やいだ。


曖昧な境界線の上で、
乱雑は飛び散り、屈折して僕に届く。

2016/06/09

消失ノ色ーゼ


必要とされない自分がどんなにあがこうとも

文字は消失する

誰の目にも 

誰の心にも



ひへんも 

きへんも 

ぎょうがまえも

ゆうべも 

構成されることなく崩れ落ちる



真白なノートが完成したら

二十四時間後、直ちに燃やしてほしい。

2016/06/08

手垢味チヨコレヰト


これはもう、
血なのか蟲なのかチョコレートなのかわからないほど

頭のなかの左上のあたりが混雑しています。
甘い匂いは、

血なのでしょうか蟲なのでしょうかチョコレートなのでしょうか
ぐずつきながら溶け出しています。

ヌルい温度が僕を支配してる。
ダルい文字が浮かび上がる。

そうしてユビノサキは、死へと向かいながら言葉を刻むのです。

たいそう不味な、モノガタリを綴ります。

2016/06/07

濁点の空


無感情/無言葉/有孤独 

何故に

孤独を従えて此処に或る? 


誰に突き刺す

無い感情を 


手応えなどなく 

誰もが通り過ぎる 

有る私を

 

誰にも私は映らない 


無意味な言葉並べて 

有意義に広がる空に

ただ一点の汚濁となる

2016/05/17

オレンジ


常夜灯が僕と嘔吐物を憐れんでいる。



僕の影はゆらゆらと揺れて痣のようにそこにいました
ひどく痛む痣、でした



ひどく孤独な夜を

孤独な世界を、僕がいなくなるまで。


2016/04/06

残懐


雪が恋しい
あのうさぎをかたどった雪景色に
自分にも故郷があったことを思い重ねる

2016/04/04

カサつくふた


記憶の隅が
カサブタの端みたいに
少しだけめくれている。

あともうちょっと我慢すれば
綺麗に再生できるのに。

剥離損ねのカサブタの裏ながめて
悔しい気分で記憶巻き戻す。

ザラつく画像は不明瞭に滲み、
それを舐めたとき気付くんだ、
舞台から誰もが離反していることを。


僕は独りで演じているだけに過ぎなかった。


降りる幕の端から、
広い会場の隅で無関心に拍手をする自分が見えた。


また、カサブタが出来た。

2016/03/11

線と破線


もう二度と交差することのない線を記し続けている

僕はあと何センチで途切れるのだろう
 

2016/02/24

不変の平穏な8日目


くだらない毎日。
くだらない自分。
だけど愛想笑いしてる。たぶん上手く。

面白みのない毎日。
面白みのない自分。
だけど冗談返してる。きっと要領良く。

「悩みなんてなくて、ポジティブでいいよね」
そう言って君は羨ましがる。


「そうだね」
本当は、心ン中グチャグチャで体ン中は肥溜め色の血液が流れているの。指の先にも、ほら。爪の先から世の終わりみたいな臭いがほとばしってる。
僕はこの手でフォークつかんであなた様の眼球に突っ込んでやるよ。
ぐらいに心は荒んでいます。
気をつけてください、君の瞳に映るあなた様の、まるで僕を警戒せず善き人と捉えるあなた様の目を潰して僕はなんのためらいもせず僕は。
心から笑えると思います。

2016/02/13

排斥


どんどん
どんどん、薄れていく。
街並みが輪郭を現して、
この道が行き止まりでないことを知った。
もうすぐ、夜が終わる。
僕は振り向いた。
ちゃんと歩いてこれたのか確かめたかった。
僕のレンズは何を映してきたのか、確かめたかった。
もうすぐ朝が始まる。

2016/01/26

欠陥品


完成してない小説。
鳴り続ける音階。
羽ばたくことのできない蝶の絵。


死体未満の僕。

人間未満の僕。


限りある時間の中で僕は僕になればいい。
たとえば、赤で羽を描く。
線は繋がらないまま壊れていく。
その刹那に僕はいて、それでいいと思ったんだ。

未完成品の僕のできあがりだ。