ーW H E N T H E S U N S L E E P Sー 唾 棄【字体安置室】
そこには死しかないと思っていた。
痛みも感情もすべて消え失せ、
なにも無いことが死なのだと。
なにもかも無くなりたいと。
今の私はそうであっても。
花は枯れようとしていた。
それなのに、強く、息吹いていた。
意味のある死を以って。
私を浚う雨の響きは、
無意味な羅列に似て。
時を刻む音なのか
命を削る音なのか
…生きるという罰を
苦しむために与えられている
乾いた吐物があるだけ。
何れ肉体が消え去るとき、すべてが消滅するのでしょう。
深い夜の末、雪が消えゆくように。
産声をあげたくなかったのです。私は。
世界の片隅で価値ない者が価値ない物を嘔吐する。
今ここで去り、蔑むべきです。あなたは。私を。
どれくらい、見離されたのかわからない。
それくらい遠くにいた。
したたかに夜を描いて、あいいろの空をゆうゆうと泳いでいる。
孤独に縁取られた月が、孤独の影を落とした。
絶望の隅で僕は沈む。
どれくらい経ったのかわからない。
あいいろの背に僕はいた。
夜が鳴いた。
悲しみの色が弾けて
壊れかけた世界の片隅で
埃まみれの花弁が堕ちていく
粉々に散りゆくかすかな赤
悲しい色を繋いで
囚われの世界を構築して
苦し紛れの詭弁を飾りつける
孤独を灯すささやかな光を