2019/12/19

剥ぐ者へ


これから書くことすべてが空想かもしれない。
夢現かもしれない。

現実と夢が重なり合うところに確信を隠して。

得体のしれない被膜で覆って。

誰にも触れることのできない場所、
そんな場所で僕は生きて。書いて。死ぬ。

2019/11/19

↑Nought↓


世界はざらざらしている

黒と白が混ざり合うことなく漂っている

ノイズはひどく僕を狂わせる


外は嫌いすぎて苦しい

もしかしたら僕だけが狂っているのだろうか

2019/11/11

赤が僕を綴じるとき

 
呼吸を殺して考えた。
僕にソレをもたらすものはなんなのか。
ヤツはどんどん迫りくる。
考える余地はない。

世界が赤に閉じるときに僕は気付く。
逃れる方法など無い。


醜い僕から醜いモノが落ちて、美しい服を着た美しい人々が顔をしかめた。正常が正義だと青い鳥が囀った。


2019/11/09

みっぺい 【min+gum】

 

 私ニ咲ク花ヲ摘ミ 密閉スル
 液体ヲ優雅ニ漂ウ
 其処ニ咲クノハ 一輪ノ美シイ花

 私ハ錯 花ハ罪 蜜ニ閉スル
 液状ヲ孤独ニ タダ、漂ウ
 底ニ裂クノハ ヒトカケラノ醜イ花





2019/11/08

契 リ


自由を求めて飛び出したけれど
自由なんて無味でしかなかった。
窮屈な檻の中で飼われていたほうが生きている感じがした。

わかってる、君は真実を持っていた。
ただ当たり前に純粋に私を愛してくれた。
君の手の中で、私の千切られた羽が泣いていた。
だけど君は涙を拭こうとはしなかった。
羽のない哀れな私を笑った。
私のことを「殺したい」と笑った。
私はそれでも構わないと思った。

ねえ、わかってた?私は嘘を隠していた。
ただ必死に君のことを愛したんだ。
痣が残っても切り傷が増えても耐えられた。
だけど君の不機嫌に怯えていた。
嫌われたくなかった。
突き放されるのなら殺されたほうがマシだ。
そうして心を失くしていった。



自由を求めて飛び出したけれど、
自由なんて無味でしかなかった。
窮屈な檻の中で飼われていたほうが生きていた…


飛べない蝶は 踏み潰されるだけだ。

2019/10/31

残夜杳花


脈に侵入する雑音をうまく拒絶出来ない。
それは躰中を駆け巡り、中枢を破壊した。
この世の全てを拒否して落下していくその時、
モノクロームの視界の隅にひとつだけ色づく花が揺れた。

その花を摘むことが出来たなら約束を守れたのに。

2019/10/19

dim


太陽が眠るとき 
視界は目覚める

蔑い色に変わるとき
唾を吐く

 
かき鳴らした言葉が
夜の中に堕ちてゆく


 一瞬でも光を放つことができたなら

 一歩でも君の足元を照らすことができたなら


2019/10/15

真夜中ノ…徘徊…


真夜中に吸い込まれて
迷えし者独り。
雨のあトをたどり
赤と。夜との。
境界線ノ前で、
ふと。立ちどまる。
出口を見つけたけれど
ふと。たちとどまる。
このまま、ここで永遠に真夜中ヲ踏んでいようか…

2019/10/03

欲望


色褪せた遠い昔の記憶なのに一瞬にして蝕まれる


孤独に生きると決めたときから過去を捨てたはず



体の中のどこを切り取ったら考えずに済むのだろう

どこを剥ぎ取ったら痛みは消え失せるのだろう



記憶の被疑者は未だ容易く僕を支配し僕を嘲け笑う




 闇ガ 全テヲ吸収スル




あの光も僕自身も欲しいものではなかった



 闇ヲ 切リ撮ルガイイ



僕の望むものにはなれなかった

(君の望み通りにはなれなかった)









冷たい僕を蔑んでほしい

2019/10/01

偽 靜 視 界


 

偽の翅で飛ぶ

霧の向こうに見える一筋の光を頼りに



組み立てた翅の粒がつぶれる、

誰にも触れられもせずに。



偽の私が逝く

振り返った後に残る頼りない筆跡



紡いだ言葉が消滅していく

偽でしかない

偽者でしかなかった



霧はどこまで続いている?

あの光は蜃気楼だとわかっていても。 

それでも飛びたかったんだ。

2019/09/24

Glow/花

僕の果てに

哀しみの花が咲く


君は泣いた

それは僕がいなくなったからじゃない、

愚弄する相手がいないからだ



いつか花は咲き乱れて

僕の痕跡はもうどこにもない



2019/09/22

『最期の記』


時は狂いなく、そこにいる。
手を伸ばしても掴むことができない。


だけど時は、いる。
長針をぐるぐると逆回転させて、僕を惑わす。


「狂ってる」
僕は独り言ちた。


油断をすれば引きずり込まれる。
自分の意志で進まなければ飲まれてしまう。
濁った水のように循環が出来なくなって、朽ちていくことになる。一刻も油断は出来ない。


それなのに。


君は狂いなく、先にいる。

僕だけを置いて。

君は時と添い、進んでいる。蝶のようにひらひらと舞い、飛んでいく。僕は手を伸ばす。

 ……もう、届かない。

 秒針は、残酷に僕を切り刻む。

 赤い光りは眩し過ぎたんだ。



光は遠く、
尊く。
僕を置き去りにした。

2019/09/20

散る散る朽散る


花 び ら 散 ル                       

果         till


く                                                       till


                        till




                                                           






                                      till



            ・・・満ちるまで

2019/09/14

オートマタ


陽が沈む。
今、何年の何月何日で何時なのか。
暗闇に紛れ込んだ僕──


嘔吐に喘ぐ人形の僕──


牢獄の中で壁を掻く

貨物列車の通過音が
僕の感情を軋轢していく


嘔吐に喘ぐ人形の僕──


陽が昇る。
今、何年の何月何日で何時なのか。
薄日に紛れて僕という人形がまた誕生した


新しい僕──
牢獄の中で弦を掻く


いつか壊れるまで孤独を可動している

2019/09/11

踏み潰された、赤。


誰が僕を殺したのか?

もで度何

痛みはいつでも僕を刺して

僕は何度でも堕ちてゆきます。


…るれさ殺もで度何

ここにあるものすべて

あなたに必要なものではありません。



僕はくだらない幻想をで塗るだけ。

けだるいてべ並を葉言な味意無


もしも僕を見つけたら視界を塞いでください。

もう痛みを与えないでください。


孤独な暗闇の中、を探した。

壊れたを拾い集めてカタチにしたとき、

僕が、終わる。



にのなけだいたりわ終にか静だた





2019/08/23

結末から始まるストーリー(夢)


結末がどこにあるのか探しに行った。
人ゴミを掻き分けても
粗大ゴミを荒らしても見つからない。

カラスの足元に新品の漫画があった。
俺はカラスをはねのけ、それを手にした。
冒頭から主人公が死んでいた。
背景がやけにスカスカしている構図だった。
十分な余白は静寂過ぎた。

カラスがギャーッと鳴いた。
俺は、余白の中に、俺という線を模った。

俺の足元に、主人公の死体があった。
カラスが生ゴミの袋を突いた。
自堕落な穴の向こうは喧騒過ぎた。

喧騒の中に新品の消しゴムが見えた。
俺はカラスをはねのけ、それを手にして、主人公を模る線を消した。
消しゴムのカスをゴミに捨てて、俺は次のページへと進んだ。

カラスがギャーッと鳴いた。
余白の中の俺という線が消失していく---ーー



何度目かのアラーム音を止める。
ダルい頭と体を起こすと、ゴミ出しというエピソード2が待っていた。

2019/08/18

うたたね


せかいが色を失くすとき

暗い闇に包まれるとき


静けさだけが残り
ぼくが黒に溶けて
よるが静かに飲み込まれて

星屑の瞬く音だけがぼくを呼ぶ



絶望しかないせかいで
ぼくはまた目覚めるのだ

2019/07/07

完全ナ青ノ下デ(すべて君のせい)



健全なあの空をスケッチする

僕から流れる影は君を飲み込む
(君の笑顔の裏まで)

新鮮な絵の具を混ぜて
キャンバスに君を吐き出して
完全なるこの絵の劣化を待つ

すべてはあの青い空のせいにして

2019/06/17

時ト空


「あとどれくらい…
 あとどれくらい生きれば終われるの?」
 鎮静剤に問いかける。



 もう思い残すことなど何もないのに。




 たとえあした消えても、
 小説が書きかけのままでも、


 誰も続きを知りたいとは思わない。
 僕も僕の続きを知りたいとは思わない、
               …のに。




 変な空が撮れた。
 どうやら僕の物語りはまだ終わってないらしい。

2019/06/11

肉片の嘆き


眼球切り取ったら、何が見えますか?
あなたの本当の心が見えますか?
…悪しかないですね。

僕を切り取ったら、何が残りますか?
…善はないですね。



欲しいのは“不自由”です。

“枷”です。

解放されても飛べません。




頑丈な檻の中、切り取った眼球で切り取った僕を探します。

2019/05/09

焦グ(コグ)


どこまでも闇しか見えなくて
掻き分けて泣き喚いて
腐った瞳から流れるのは
黒い闇のような黒い闇で
頬伝う闇が闇に溶けて
BOKUもいづれ闇に溶けるのだろう



2019/05/06

毀叫 -ĸıĸʏou-


何年経とうとも変わることなく

僕は未だ同じ場所にいる



きっとあの場所で死んだのだ。

あの冷たいアスファルトの上で。



手をかざして透けて見える景色は誰のもの?

街ゆく人たちはみんな誰かのもとへ帰る


みんな誰かがいるのかな



・・・僕は誰のもの?



こんなに広い空なのに

こんなに広い空のなか

僕はひどく空洞なのか



誰にも映らない僕

誰のものでもなく

なにものでもなく




裂けてしまったあの日に声を置いてきた。

どんなに助けを呼ぼうとも、

もう誰にも届かない。




もう誰にも届かない

誰にも



2019/04/04

異音


ふつうに生まれたかった。

ふつうに感情を試されたかった。


リトマス試験紙の青と赤、どちらにも判定しない液体飲んで、

どちらともない味が喉の奥を通り過ぎて、僕は粉々に砕け散った。


分裂した僕の断片は、どこにも属せず。


かけらを拾い集めて、僕は僕だ。そう胸を張って生きることはとうに諦めた。


僕は僕だ。だけど、どこにも僕はいない。



誰にも。

 

2019/03/03

(V.The Pope)Up to Me


いつも溺れていた。


水の中にインクを垂らすように

ゆっくりと浸透して

沈んでいく……


落ちても落ちても

底は無い


暗い闇に私という傷を捧げながら。

2019/01/10

静寂を侵蝕する黒い粒子から逃れるためのカラフルな遮断


いつしか時をはぐれて蹲っていた
ここには何も聞こえない何も届かない


違う、
聞こえないのは耳を塞いでいるからだ
届かないのではなく自分で拒んだ
傷つくことに恐れ自分を守ったつもりでいたけれど最終的に、



あなたを傷つけたのは、僕でした。




塞いでいた耳から手を離すと規則的な音を立てて時は動いていた


僕だけが間違った影、でした。

2019/01/07

静寂を侵蝕する黒い粒子


鋭利な光りが僕を傷つけるから、

僕は夜の中で生きよう。

安らかなる夜に包まれて眠りに就きたい。  

夜はすべてを覆い隠してくれる、

僕のことも。


そうして闇の隙間から

鋭利な光りが誰かを傷つけるのを見届けよう。 


安らかなる夜の中で呼吸を繰り返し、

この身が朽ち果てるまで。