ーW H E N T H E S U N S L E E P Sー 唾 棄【字体安置室】
悲しみをどこに置いてきたんだっけ
楽しかった事とか
友達がいた頃とか
思い出 どこに置いてきたんだろう
孤独に溺れ沈んだのはいつからだろう
ここには何も届かず
も う
誰も私を知らない
夕闇の匂いは知っていたはず
欠けた月の欠けた照らし方も感じていたはず
朝起きて
学校へ行く
水溜りのよけ方は得意だったはず
透明の傘越しに太陽が見えた
ノートを書き留めるふりして漫画を描くのは日課だったはず
誰かが言った雨の日は憂鬱だと
教室の窓から虹が見えた
先生も外を眺めている
雨の日は憂鬱だったはず
欠けた僕の欠けた僕の席、確かにあったはずなのに
夕闇の匂い
欠けた月
雨の降る夜、僕は
ハジケルコトナク気の抜けた炭酸のままその喉元を通り過ぎて
と、カーテンが開けられる。
俺も一緒に外を鑑賞する。
ベランダの手すりにしがみつく水滴が、陽射しを受けて、きらきらと輝いた。
街路樹はすっかり秋色を纏っている。木陰からこちらを覗いているメガネも秋の色を装っていた。
葉が一枚、舞い落ちていく。
ゆっくりと近づく冷色の気配。
と、カーテンは閉められた。
陽当たりの悪い部屋には、最早意味の無い、単なる目隠しのための布切れでしかない。
毎朝、天候を確認するときだけ、レールを行き来する。
俺もそっと空を垣間見る。
弱さはすぐに忍び寄る
私にピタリと当てはまるようにして
壊れるのは容易く
脆さは常に背中合わせ
無情に
抉られる体内
すべての私を奪う
私を奪う私のすべて
奪ばれる、すべての私を
どうか早く殺して
蔑(くら)い匚(ハコ)の中にいる。
名前はない。
「屑、」
かすかな産声を漏らす。
僕の、軋む音
願ってもない世界に僕はいて、
吐いて吐いて呼吸に喘いで、喉を掻きムシル。
視界は濁り渦を巻き、止まない耳鳴りが警報を放つ
聴こえますか。耳障りな僕の、音階。
何を見つめても何を知っても
何の感情も要らない
何も欲しくない
冷たい人形でいい
壊れた欠片でいい
だからこのまま
私の胸に針を刺したまま
貴女は私を欺いて
時々優しく欺いて
長い旅路をお疲れ様でございました
どんな人生でしたでしょうか
後悔はありませんか
…それはもう、どうにもなりません
あなたが選んだことです
これからは冥界でお過ごしください
ご案内いたします
こちらへどうぞ
見える景色は
こちらでしょうか?
それともこちらでしょうか?
窒息で溢れている悪夢のような日常
絶望に裂ける蟲を踏んだ時
食み出た蜜で26の数字を塗り潰した
未来はあるのと27に問う
窒息は捲っても理不尽に続くだろう
堕ちる聲が地上に届いた時
底這う暗黒は天使を黒に塗り替えた
過去を捨てろと30に告ぐ
逼塞は捲っても好都合に続くだろう